山パン

就職してからは機会もないだろうと思い、山崎パンの工場でバイトをしてみる事にした。普段は、12時間で1万円。それが、お萩シーズンらしく、一晩15千円。しかも、5人で行けば+500円という好条件。食品系のバイトなのでヒゲは剃らねばならないが、ネタの為なら止むを得ない。
メンバーは、俺、ぺっしょ、ぺの字のマジサ友達の野Z、ちょん、ぽんた。18時からの労働に備え、早めに潜入。入って最初の衝撃は、窓がない事。いや、窓はあるんだけど、窓ガラスは無く、鉄板。その隙間から見える山パントラック。気分は、護衛艦か空母。
着替えて、荷物を置き、配置に付き、まずはそこから5時間ノンストップで、あんこを切る作業。まず対角線に刃物で切り込み、残りの頂点からスッとナイフを引く。一度刺したら、最後までやってしまうのがルール。やり直すと、ビニールの切れ端があんこに入ってしまう虞がある。切ったら、詰まらないように、足りなくならないように、4台のお萩製造マシーンのあんこ入れに、切ったあんこを入れていく。ビニール消毒用のアルコールは無くなるし、コンテナが空になって取りに行っている間にあんこ切れでエラー出るし、そもそも在庫のあんこが切れるし、正直しんどい。汗だくの重労働。ちなみに、漉し餡4台を1人でやった俺に対して、ぺっしょは粒餡1台のみだったので、逆に暇過ぎるという苦痛に耐える5時間だったらしい。いやはや、何とも。
休憩時間は、1時間。社員食堂で普通に飯を食える。フロアの反対側にはパン置き場があり、そこのパンは食べ放題。運良くあんこを扱っているだけなので、パンは食せる。
日付が変わる頃より作業再開。今度は、ベルトコンベアで運ばれてくるお萩を、方向を揃えて規定数になるようコンテナに詰めて重ねていく作業。足下から頭上遙か上までコンテナを詰むので、異常に腰に来る。途中から、事ある毎に目の前のおっちゃんと愚痴ってた。それも5時間。少し早めに作業が終わって、解放。
人事の方が自分らの作ったお萩がもうコンビニに並んでいるという話をしてくれたので、駅で解散する前に最寄りのコンビニに行った。確かに置いてあったので、記念撮影。疲労困憊というよりは異常心理状態で、女性2人はプレミアムのFFのポーション、俺はスミノフを買って、乾杯。眠くはないのだが、一体自分は何をしたいのか良くわからなかった。
心は消耗する。それは確認できた。満足。もうやらねぇ。