眼球抉子(がんきゅうえぐりこ)

新・免許を手に入れてから、例に倣って優雅に読書した。今日は、日日日(あきら)の「蟲と眼球とテディベア」。寿命を延ばす楽園のリンゴを食べてしまった者と、それを狙う者達と、そいつらを狙う者と、普通の人間の枠内での完璧超人の話。オビ買いしてしまったので、イラストや文章に惹かれて買った訳ではなかったが、秀作。ストーリーは、テンポ良く書かれていて、読んで飽きないし疲れない。無駄な部分が少ないという事なのだろうが、話が無駄に複雑にならず、人間関係のひねりも2回というシンプルな構成。技巧的な言い回しは少ないが、ライトノベルとしては逆に秀逸。かなりの当たり。
俺好みで、世界観のしっかりしている話。明記はされていないが現代日本での話で、神話時代の過去が背景世界として縫い込まれている。人物設定もそれなりに深いが、これに関しては生かし切れていないと思う。言い換えると、もっと深く長い話にも耐えられるだけの設定が完成している。作者的には、それらはギャグ小説の為の準備だったのだろうが、シリアスとして出版した以上、俺はそう解釈した。でも、続編は出しづらそう。
一番笑ったのは、「眼球えぐっちゃうぞ」が決めゼリフ的な、メインウェポンがスプーンの少女の、偽名。キャラ設定ではなく、名前に感動した。眼球抉子(がんきゅうえぐりこ)で、あだ名がグリコ。しかも、再登場時は真・眼球抉子。ヒロインの「うさりん閣下」という呼び名では萌えもしなかった俺でも、眼球抉子インパクトには恐れ入った。まさに衝撃。gannkyuuegurikoと入力する度に動揺の余韻が味わえる。
ワンスモア、「眼球抉子」。日日日、あんたはすげぇよ。