扉の外II

昔の自分の小説を読んでるんじゃないかと思った。氷雨係長(冷たき雨を司りし長)とか名乗っていた頃。バッドエンド好きには堪らないんじゃなかろうか。選択肢があって、最悪の選択を免れたと思ったのに、どう考えてもよろしくない結果が待っていたような。あるいは、選択肢があって、迷った末にハズレを選んでしまった後に、もう片方もハズレだったと教えられるような。けれども、その間違いに至る過程と結果が、あまりにも醜く、あまりにも美しい。ストーリーとして、作品として、二重に読者を裏切ってくれた。裏切った方向が良いか悪いかは、ヒーロー・ヒロインにとってのバッドエンドが好きか嫌いか、世界・集団にとってのバッドエンドが好きか嫌いか、で4通りに分かれると思う。物語性に激しく読者を選ぶ。文章、構成、人物は良い。俺的には満足。
神は何故、理性で制御できない程の感情を人間に与えたのだろうか。神は何故、昂った感情を抑えられない程度の理性しか与えなかったのか。だがもし、それこそが世界のバランスを取っているのだとしたら、やはり神は神と呼ばれる程度の存在なのかも知れない。